要点: オフグリッドの1日使用電力量は、各機器の「消費電力(W) x 使用時間(h)」を合計して求めます。例えば 50W のノートPCを4時間使えば 200Wh。全機器のWhを足し、さらに損失分として15%前後を上乗せした値が、実際に必要な1日分エネルギーです。

なぜWhが最重要なのか
オフグリッド構成では、パネル容量やインバーター定格ばかりが注目されがちですが、本当に基準になるのは 1日あたりの消費エネルギー(Wh/kWh) です。
エネルギーは 電力 x 時間:
- W(ワット) は瞬間的な消費ペース
- Wh(ワット時) は一定時間の総消費量
太陽光は日中にWhを生み、バッテリーは夜間にWhを供給します。ここが曖昧だと、システム全体が推定設計になってしまいます。
基本計算式
1日電力量(Wh) = 機器の消費電力(W) x 1日の使用時間(h)
- Wを確認: 銘板、取扱説明書、または電力計で確認。A(アンペア)とV(ボルト)表記なら
A x V = W。 - 実際の使用時間を見積もる: ルーターは24時間、TVは2時間など、現実ベースで。
- 冷蔵庫などの断続負荷は実測: 24〜48時間の積算値で判断するのが確実。
すぐ使える負荷監査テンプレート
| 機器 | 稼働W | 時間/日 | Wh/日 |
|---|---|---|---|
| 例: ルーター | 12 W | 24 h | 288 Wh |
| 例: ノートPC | 60 W | 4 h | 240 Wh |
| 例: 照明 | 40 W | 5 h | 200 Wh |
合計Whに損失マージンを足した値が、設計の基準になります。
多くのガイドが省略しがちな点
- インバーター変換ロス: AC機器を使うなら10〜15%程度の余裕は必須。
- 待機電力(ファントム負荷): 電子レンジ時計表示、TV待機、インバーター自己消費などが積み上がる。
- 季節差: 夏冬で使用パターンは大きく変わる。年中オフグリッドなら、消費が高い季節で設計する。
計算例(週末キャビン)
1) 機器ごとにWhを算出
- LED照明: 4灯 x 10W = 40W、5時間使用 -> 200Wh
- スマホ充電: 2台 x 15W、2時間 -> 60Wh
- 小型冷蔵庫: 電力計で24時間実測 -> 1,200Wh
- 給水ポンプ: 400W、計0.25時間 -> 100Wh
- TV: 80W、3時間 -> 240Wh
合計: 200 + 60 + 1,200 + 100 + 240 = 1,800Wh/日
2) 損失を見込む
1,800 x 1.15 = 2,070Wh/日
このケースでは、毎日安定して 2,070Wh(2.07kWh) を供給できる設計が必要です。
よくある質問
冷蔵庫のWhはどう計算すればいい?
定格W x 24時間では正確になりません。コンプレッサーは断続運転なので、24〜48時間の実測が確実です。
サージWと定常W、どちらを使う?
日次Wh計算は 定常W を使います。サージWはインバーター選定で使います。
WではなくA表記しかない場合は?
W = A x V で換算します。例: 120V・5Aなら600Wです。
暖房や冷房はどう扱う?
非常に大きな負荷です。日次Whを大きく押し上げるため、実測またはメーカー実データで慎重に見積もってください。
参考情報
- U.S. Energy Information Administration (EIA) - How much electricity does an American home use?
- U.S. Department of Energy - Estimating Appliance and Home Electronic Energy Use
監査が終わったら、WattSizing Calculator でWh/日を入力し、パネル・バッテリー・インバーター容量に落とし込みましょう。


